ソニー・インタラクティブエンタテインメント・アメリカの元代表ショーン・レイデン氏が、任天堂の「Switch 2」の価格戦略をめぐる議論に触れ、任天堂の独占タイトルの強力な魅力が価格上昇の打撃を和らげると指摘した。任天堂がSwitch 2を449.99ドル(一部アナリストの予想より50ドル高い)で、『マリオカート ワールド』など一部タイトルを79.99ドルで発売すると正式発表した後、消費者の反応は賛否両論だ。しかしレイデン氏は、任天堂IPへの唯一無二のアクセスが価格を正当化する重要な要素だと語る。
Switch 2のソフト価格が10ドル値上がりしたことに驚きの声もあるが、任天堂はコンソールと『マリオカート ワールド』がセットになった限定バンドルを499.99ドルで提供。実質的にソフト単体価格を30ドル値引きする形だ。ただし、このプロモーション期間は永続的ではない可能性があり、特に国際関税の不透明性や米国での予約開始遅延を受けて懸念が広がっている。
『マリオカート ワールド』だけが79.99ドルタイトルではない。『星のカービィ ザ・フォガットンフォークランド - Nintendo Switch 2 Edition + スタークロスドワールド』、『スーパー マリオパーティ ジャンボリー - Nintendo Switch 2 Edition + ジャンボリーテレビ』、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム - Nintendo Switch 2 Edition』などの「Switch 2 Edition」アップグレード版も同価格帯だ。これらは新型ハード向けにグラフィック強化・新機能追加・コンテンツ拡張が施されている。
レイデン氏はPlayerDrivenのポッドキャストおよびYouTubeチャンネルで、クロスプラットフォーム展開を進めるソニーやマイクロソフトと異なり、任天堂が主要タイトルの自社ハード独占を続けることでエコシステムの価値を高めていると分析した。
「でもマリオを遊べる唯一の場所なら、財布を開いて購入するでしょう…ドンキーコングやゼルダも同じです。この第一方独占性が、いわば値上げのショックを軽減する。なぜならそのコンテンツがどうしても欲しいからです」
レイデン氏はゲーム価格の変遷にも言及し、インフレ調整後の現在の59.99ドル標準価格が歴史的なトレンドから見て著しく低いと指摘。各世代ごとに5ドル値上げすべきだったとし、現行価格は90ドル近くあるべきだと語った。
「1999年の59.99ドルは2025年換算で100ドル相当です。購買力は生活費と比べて以前より低下しているのに、企業は価格引き上げに消極的だった。当時の関係者として言えば、各世代ごとに5ドルずつソフト価格を上げ、『さぁ今度はあと5ドルね』と定着させるべきでした。そうすれば今頃90ドルになっていたはずです」
Nintendo Switch 2 価格表(米国)
- Nintendo Switch 2(本体のみ): 449.99ドル
- Nintendo Switch 2 + マリオカート ワールド バンドル: 499.99ドル
- マリオカート ワールド(単体): 79.99ドル
- ドンキーコング バナンザ: 69.99ドル
- Nintendo Switch 2 Proコントローラー: 79.99ドル
- Nintendo Switch 2 カメラ: 49.99ドル
- Joy-Con 2 コントローラー(ペア): 89.99ドル
- Joy-Con 2 チャージグリップ: 34.99ドル
- Joy-Con 2 ストラップ: 12.99ドル
- Joy-Con 2 ステアリング(ペア): 19.99ドル
- Nintendo Switch 2 ドックセット: 109.99ドル
- Nintendo Switch 2 収納ケース&画面保護フィルム: 34.99ドル
- Nintendo Switch 2 オールインワン収納ケース: 79.99ドル
- Nintendo Switch 2 ACアダプター: 29.99ドル
任天堂アメリカのビル・トライネン製品&プレイヤーエクスペリエンス副社長はIGNのインタビューで『マリオカート ワールド』の価格を擁護し、ゲームの規模と深度を強調。近日公開予定の専用Nintendo Directで新要素や隠しコンテンツを紹介すると述べた。
「これは非常に大きく広大なゲームで、発見するべき小さな要素が多数あります。まだ明かされていない秘密もあり、購入して遊んだ人たちにとって史上最も豊かなマリオカート体験になるでしょう」
『Switch 2 Edition』タイトルの79.99ドル価格について、トライネン氏は各ゲームのコンテンツや価値を個別に評価していると説明。既存所有者は9.99ドルでアップグレード可能で、『Nintendo Switch Online + 拡張パック』会員は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド - Nintendo Switch 2 Edition』と『ティアーズ オブ ザ キングダム』版を追加料金なしで入手できると補足した。
「個々のゲームごとにコンテンツと価値を検討し、『このエンターテインメントにふさわしい価格はどれか』と判断しています」
Switch 2本体の価格については、新技術と機能による生産コスト上昇を認めつつ、イノベーションと適正価格のバランスを図ると説明。ただし関税の影響が不透明なため、予算重視のユーザー層からはさらなる値上げを懸念する声もあがっている。






